家造りの基礎知識
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契約書、保証書
昔から「住宅産業はクレーム産業」といわれ、実際にトラブルの多い業界です。住宅は生活のベース(基盤)となるものであり、その工事は金額が高く、しかも内容が複雑で多岐に渡ることから、いろいろなところで業者側とユーザー間のひずみが発生するのは、いたしかたない部分も確かにあります。しかし、これまで問題だったのは、業者側もユーザーもそれを当たり前に、そして安易に考えていたことです。業者はクレームがあっても開き直ったり、なにかと言いつくろって、おざなりの修繕で済ませたりすることが多々ありました。ユーザーも業者側に無視されれば、すぐあきらめて泣き寝入りせざるをえなかったのです。
しかし、住宅品質確保促進法、消費者契約法といった法律の施行により、住宅の性能保証や訴訟、契約解除などの面でユーザーにとって有利な法環境が整って、従来のようなトラブルがスムーズに解決される方向に進みつつあります。
トラブルを防ぐ第一の手段は、良い業者選びであり、その方法については前述しました。
それでは建築業者(工務店)が決まった段階では何が必要でしょうか。
それは、確実な契約を結ぶということです。そのためには、契約時の書類の取り交わしと内容確認という、ビジネス本来の原則を守るのが基本です。
新築工事では、次のような書類が発行されます。
◎工事請負契約書
基本的な契約のための書類です。工事名称、注文者、工事邸の所在地、工事時期、代金、支払方法などが記されています。当たり前の内容のように思われますが、工事時期、代金をはじめとして、記載に誤りがないか必ずチェックしてください。
◎請負契約約款
契約内容について詳細に記した文章で、契約書の一部です。細かい文字でびっしり書かれているので、面倒くさがって内容を読まない人もいるようですが、これではいけません。後々のトラブル発生に備えた取り決めごとが記載されているので、全文をしっかり確認してください。
◎設計図書
いわゆる「設計図」のこと。最もベーシックなものは、家を上から見た状態の「平面図」で、他に室内の壁面を描いた「展開図」、天井面を描いた「天井伏図(てんじょうふせず)」、家の外面を描いた「立面図」などが添付される場合があります。他に、材料の一覧表である「仕様書」もこれに含まれます。これらはどんな工事が行なわれるかのいわゆる証明書ですので、技術的なことはわからなくても自分なりにチェックしておくことが大事です。
◎見積書
見積書については、前述した通りです。
◎保証書
保証制度を定めている工務店では、保証書を渡してくれるはずです。保証内容には制限がありますので、これも契約約款同様、詳しく読んでおかなければなりません。
◎工事変更合意書
工事の変更における「言った言わない」のトラブルを防ぐための確認合意書。用意していない工務店もあるかもしれませんが、どのような形式でも書面を交わした方が安心です。
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